ワタミの介護~プロデューサーの思い

もし、私の家族がここに入居するとしたら……、これまでの家族のあたたかさが続くような場所であってほしい、機能的であると同時にエレガント(優雅)であること、そして、そこにいるだけでホッとする空間であってほしい、そう思って企画、デザインをさせていただきました。

 私は「介護」という分野に対してまったくの素人です。恐らくこれからも、現場で働くことがない限り、介護の本当の姿を見ることは難しいでしょう。
ですが、まったくの素人として「介護施設」という空間を見学したときに、単純に疑問に思うことがありました。
「どうしてどこも似たようなインテリアなんだろう?『介護施設』という言葉から連想されるような決まりきった色合い、画一的な雰囲気なのはなぜだろう?」
そこで、お年寄りだからこういう色が好き(だろう)、介護施設だからこういう内装(でいいだろう)、という固定概念や既存の考えは取り払い、私自身の感覚で「これ素敵!」「かわいいなあ、癒されるなあ」と思うことを取り入れました。

 当たり前のことですが、どのような空間で毎日を過ごすかによって、その人のものの考え方は変わってきます。365日、毎日自分のお気に入りの空間で目覚める人と、「とりあえず暮らせる」という程度の殺風景な部屋で暮らす人とでは、考え方や気持ちの安らぎが変わってきて当然ですよね。
どんな方にも好みがあるはずで、これまでのその人は自分の好きな物に囲まれて暮らしていたかもしれない、それが突然隣の人と同じインテリア、カーテンも壁紙も選べない空間にいなくてはならないとしたら……、せめて共有スペースはいるだけで癒される場所であってほしいと思います。プライベートな空間でも、できるかぎりその人の個性と好みを反映させたインテリアで暮らしていただきたいと思うのです。
そこで、入居のときに好きな家具を選べるように家具のカタログを用意しました(2010年春以降実施)。現場の声とお客様の要望によって内容は常に改善していく必要がありますが、カーテンも数種類の中から選ぶことができるようにしています。

 インテリアを変えるだけで気持ちが一新する、やる気が湧く、癒される香りや調度品に囲まれるだけで心がなごむ、この感覚はどんな年代の人でも同じはずです。むしろ、これまでの長い年月を生きていらした高齢者の方々にこそ、「お疲れさまでした」という意味で、居心地の良い空間で暮らしていただきたいと思うのです。

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